かえるくんのゆかいな日常
昨夜は嵐で、今朝は一転して冬の空気。気温はそれほど低くはないのですが、空気の質というか、あるいは空の色というか、そういうのが冬って感じなんです。
さて、今日は気になるニュース。
―ペンギンさん、お勉強しなくて大丈夫なの?
―予習が進んでないようって言ってなかった?
…まあそうなんですけど、75日くらいは人々が噂しそうなニュースって、最初に追っかけ損ねちゃうと、後からだと話が分からなくなっちゃうんですよね。「シュトゥットガルト21」を巡るニュースなんかはまさにそうで、いまだにどういう話なのかがつかめない。まあだから、ちょっと時間を割いてニュースでも翻訳してみたんです。新聞で読んでも何がなんだかよくわからなかったから、ちゃんと辞書ひいて…
例によって「チューリヒ新報」紙(Neue Zürcher Zeitung)の電子版から。
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国立銀行総裁にさらなる非難
フィリップ・ヒルデブラント総裁自身の外為取引報じる 「週刊世界(Weltwoche)」紙
(2012年1月4日 15:21 NZZ Online)
フィリップ・ヒルデブラント(Philipp Hildebrand)国立銀行総裁は、さらなるプレッシャーにさらされている。この発券銀行の長は、ユーロ及び米ドル購入の行われた銀行口座を自ら所持し、取引を自分で行った。――それは彼の妻がやったわけではなかったのである。ヒルデブラント総裁は、木曜(2012年1月5日)、この問題について態度を明らかにする予定だ。
(ロイター/ドイツ通信dapd/スイス通信sda/bbu)スイスフランの直近の引き下げ(Abwertung)に先立って、フィリップ・ヒルデブラント・スイス国立銀行総裁は、大量の米ドルを購入し、続いてこれを売却することで利益を得たと、「週刊世界」紙が、Vorabmeldungの中で中央銀行関係者の話を引用しつつ、明らかにした。これまで、同様の非難は、ヒルデブラント総裁の妻を引き合いに出してなされていたとこ� ��である。
75,000フランの利益
「週刊世界」紙によれば、ヒルデブラント総裁は、注文をその都度いつも個人的に行っていた。サラシン銀行(Bank Sarasin)に設けられた口座で取引を行っていたが、この口座はスイス国立銀行総裁に属するものであって、これまで報じられてきたように、彼の妻に属するわけではなかったという。2011年の3月から10月にかけて、ヒルデブラント総裁は、外国為替市場(Foreign Exchange (Forex))を通じて複数回米ドル及びユーロの購入を進めていたというのである。
3月の取引だけで、ヒルデブラント総裁は、110万米ドルを購入したとされる。ユーロ相場の下値が1.20フランに設定される3週間前には、都合2回の取引で40万フランでおよそ50万4,000米ドルを得ていたという。10月4日には、国立銀行総裁は、こうして得た米ドルを再度売却し、75,000フランの利益を得たとされる。「週刊世界」紙によれば、これらの取引は、口座振替[の記録]によって、それぞれ裏づけられている。
今回知られることとなったこうした情報は、「週刊政界」紙によれば、サラシン銀行の顧客担当コンサルタント(Kundenberater)のひとりから得られたものである。このコンサルタントには、この行為によって銀行の守秘義務を必然的に侵害す� �ことになることがわかっているという。そのため、このコンサルタントは自首すると同時に、フィリップ・ヒルデブラント総裁を、為替法違反として告発したものという。インサイダー取引は国法上の犯罪(Offizialdelikte)であるから、そのような犯罪は職権により訴追されなければならないと[「週刊世界」紙は]いう。したがって事件はいまや司法が関わりうるものとなった、というのである。
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「週刊世界」紙の[記事の]著者であるウルス・パウル・エンゲラー(Urs Paul Engeler)氏からすれば、世間を欺くための「大それた、そして狡猾に仕組まれた(grossangelegter und raffiniert eingefädelter (Versuch))」試みというものが存在する。同氏は、とりわけ、12月23日に発表されたスイス国立銀行のコミュニケを批判する。このコミュニケは、ヒルデブラント総裁の非合法取引をめぐる噂を根拠がないものとしていたところである。
連邦参事会の特別委員会
エンゲラー氏は、さらに、もっぱらヒルデブラント総裁のことが話題となった、12月23日に連邦参事会の「秘密会合」を報じている。その場では、シモネッタ・ソンマルーガ(Simonetta Sommaruga)連邦参事、ミシュリーヌ・カルミー=レー(Micheline Calmy-Rey)連邦参事[当時]、及びユーリ・マウラー(Ueli Maurer)連邦参事の3人が、前述の情報に基づいて事態を憂慮したのに対して、エヴェリーヌ・ヴィドマー=シュルンプフ(Eveline Widmer-Schlumpf)連邦参事、ヨハン・シュナイダー=アマン(Johann Schneider-Ammann)連邦参事及びドリス・ロイトハルト(Doris Leuthard)連邦参事の3人が、ヒルデブラント総裁への引き続きの信頼を明らかにしたという。
調査を通じての免責
水曜(2012年1月4日)の夜、「週刊世界」紙による直近の情報の暴露を前にして、だれがこの不祥事(Affäre)において役割を担っていたかが明らかとなった。サラシン氏の銀行によれば、この銀行に勤務するシステム・エンジニア(Informatik-Mitarbeiter)のひとりが、データを目的外譲渡(weiterreichen)していたというのである。問題となった書類は最終的に、ヒルデブラント氏と政治的に対立している、スイス国民党(SVP)所属のクリストフ・ブロッハー(Christoph Blocher)国民議会議員が入手した。同議員は、この書類を連邦参事会に流した。ここでの情報によれば、ヒルデブラント氏の妻であるカーシャ(Kashya)夫人が、ユーロ相場の下値設定のなされる3週間前に、多額の米ドルを購入していたものとされていたのである。
その後なされた調査では、「フィリップ・ヒルデブラント総裁の夫人」が取引にかかわったという結論に至った。監査役(Kontorolleur)らは、「認められない取引はな」く、かつ「特権的に有する情報の濫用もない」ものとみとめた。取引が執行委員の私的な事務にかかる規則に抵触するか否かが検討された。厳密に言ってスイス国立銀行のこの内部規則に規定されている事柄[への違反]は、今までのところ知られていない。スイス国立銀行は、水曜日になってようように� ��指針を明らかにした。
スイス国立銀行のコメントはない
問い合わせをしたものの、国立銀行の側からは、水曜の時点では新たな問題についてのコメントはない。連邦金融監督局のクルト・グリューター(Kurt Grüter)局長も監査役のひとりであるのだが、問い合わせに対して答えを返そうとしない。自らの仕事は、取引にかかる報告書の提出を受けた時点で終了したと、同局長は言う。
連邦参事会スポークスマンのアンドレ・シモナッツィ(André Simonazzi)氏は、スイス通信社(SDA)からの問い合わせに対し、ヒルデブラント総裁の取引にはすべて検証作業がなされ、認められたと語った。連邦参事会は、ヒルデブラント総裁への信頼を表明したというのである。
チューリヒ上級検察庁(Oberstaatsanwaltschaft)は、事件の全容について――笛を吹いた可能性のある者(Mögliche Whistleblower)に対する手続についても、また、ヒルデブラント総裁に対してなされた告発についても――態度を明らかにしようとしない。水曜日じゅうは何も情報はないと、スポークスマンは問い合わせに応じて語っている。
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翻訳してみて、よくわかりました。経済学なんてこれっぽっちもわからないペンギンさん、これは、辞書なしで読んでも、わからない…
どれだけ速く、太陽/に滞在する行かなければならない
ペンギンさんと銀行とのかかわりは、スイスでは今一つ薄いのですが、この金融の街の本拠地にして、地下に金塊が埋まっているという閲兵広場(Paradeplatz)はこんな感じ。
そうはいっても、かなりペンギンさんの領域に近い話のようでもあり、ちょっと気になります。そこで、別の解説記事を編立てみることにしました。
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「スイス国立銀行への圧力は、今後さらに高まる」
信頼は国立銀行の資本―――識者語る
(2012年1月5日15:40 NZZ Online)
フリブール大学のライナー・アイヒェンベルガー(Reiner Eichenberger)教授(財政学)(Finanzprofessor)は、スイス国立銀行の不祥事においては、とりわけ銀行理事会(Bankrat)の義務を重視する。インサイダー取引に関して、規則が現状に適合したものになるなら、発券銀行としての信頼はむしろ増すことになろう、という。アイヒェンベルガー教授によれば、今日、巨大インサイダー取引は、発券銀行や銀行で行われるものではない。むしろ、欧州の政治家は、インサイダーとしての巨大な知識を用いうる地位にあるのだという。
インタヴュー:ナタリー・グラットヴォール(Natalie Gratwohl)
NZZ Online:強い発券銀行とはどういうものか。
ライナー・アイヒェンベルガー教授:強い発券銀行というのは、とりわけ次のようなものだ。すなわち、信頼だ。信頼は、過去、そして現在の刺激に満ちた状況の中で果たすべき、通貨の番人としての任務から生じる。スイス国立銀行の首脳陣が、例えば、インサイダーとしての知識を用いたりしたならば、信頼は大きく失われることになりうる。
スイス国立銀行はどの程度信頼を失ってしまったか。
一般的にいえば、信頼は何ら失われていない。いまはまだ、どのような出口を模索することも可能だ。フィリップ・ヒルデブラント・スイス国立銀行総裁によるこれまでに知られた外為取引は、たしかにまずいものではあるが、問題のあるものではない。ヒルデ� �ラント総裁を批判するよりもむしろ、銀行理事会(Bankrat)の役割が問題視されるべきだ。スイス国立銀行の銀行理事会には、内部規則を整備する責任がある。ヒルデブラント総裁が行ったような外為取引は、将来は禁止されるべきものだ。クリエイティヴな解決が求められている。すなわち、スイス国立銀行の理事(Direktor)らが指示を与えられるようにして、それが翌月の任意のある日に実行されさえすればいいのだ。こうした形で風穴があくことになれば(Wenn diese Löcher gestopft sind)、発券銀行としての信頼は、むしろより高まることになろう。
外国では発券銀行関係者(Notenbanker)に妥当する規則はより厳しいものなのか。
たとえば、欧州中央銀行は、インサイダー取引についてより厳しい規則を有している。他方でさらに比例原則も考慮されなければならない。巨額のインサイダー取引は、銀行家や発券銀行関係者はやらない。欧州債務危機の時代には、むしろ欧州の政治家こそが、インサイダーとしての巨大な知識を用いることのできる地位にある。こうした情報は、金融市場の投機家(Spekulant)にとって関心があるところであって、だからこそ彼らは政治家に近づこうとするのだ。
今回の不祥事は、スイス国立銀行の金融政策(Geldpolitik)の独立性にとって意味があるか。
スイス国立銀行に対する政治家の圧力が近年高まっている。今回の不祥事とは関係なく、そうした圧力はさらに高まっていくだろう。しかし、発券銀行は、こうした要求に屈するべきでなく、ユーロ相場の下値の設定値を維持すべきだ。ひとつには、長期的に見てどのあたりが「正しい」ユーロ相場なのかは不明確だ。他方では、それによってインサイダー取引の危険は高まることも問題だ。投機家らにとって関心があるのは、スイス国立銀行の決定権者の人的範囲から情報を得ることにあるのだ。
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そのことについて、何か事例はないか。
米国およびEUでは、発券銀行は介入ができない。そういうわけで、投機の温床は大きくない。しかし、準先進国(Schwellenland)の多くでは、状況は劇的に異なる。たとえばアルゼンチンでドルペッグ制が廃止された時、政権の近くにいた多くの人々が、いっぺんに私財を倍増させた。
今回の不祥事は、外国では、スイス国立銀行の信用にとってどのような意味を持つか。
今回の不祥事は、外国ではそんなに強く認識されていない。どんな危機でも逆用することができる。スイス国立銀行の規則に、いま、風穴を開けること(die Löcher ... gestopfen)ができれば、そして、われわれがお互いの頭をたたきあうようなことがなければ、物事はスイスの評判をまったくもって傷つけるものではない。
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Finanzは、金融論なのか財政学なのかで迷いましたが、この場合は財政学なんでしょうね。って、両者の違いをよくわかってないのですが… あと、Bankratは、これはもうスイス国立銀行の組織図でも見ないとよくわからないけれども、おそらく執行部ってことなんだと思います。日銀は確か理事会って言ってたはずだから、同様に訳してみました。
それから、ここで出てくるサラシン銀行ってのは、上の写真の広場にあるUBSとかクレディスイスなんていう普通の銀行とは違うプライヴェートバンク、いわゆる「スイス銀行」です。本当はクレディスイス こそがスイス銀行って名前なんですけどね… よく悪いことをする人がお金を預けに来るようなところがここ。スイスの銀行の秘密保持は世界一、なんて言われていたあたりですね。だから、この情報開示しちゃった人のほうが、この国としてはスキャンダルなのかも。
で、総裁さんのほうが法的にみて問題ないというのはどういうことか、っていうのが、ペンギンさんの知りたいところ。次の記事に答えがありました。
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刑事手続きはない ヒルデブラント総裁
サラシン元従業員に対しては捜査
2012年1月5日13:09 NZZ Online
フィリップ・ヒルデブラント国立銀行総裁による米ドル取引が論議を呼んでいるが、この取引はインサイダー取引の犯罪構成要件に抵触しない。したがって、検察は、ヒルデブラント総裁に対する刑事手続きを断念した。これに対して、サラシン銀行従業員のシステム・エンジニア(IT-Mitarbeiter)に対する刑事手続きが開始された。ヒルデブラントの銀行データを目的外譲渡(weitergeben)した疑いによる。
(nic./yr.) ヒルデブラント事件において、刑事訴追の管轄当局が定められたのち、経済犯罪について管轄を有するチューリヒ第3検察庁が、木曜(2012年1月5日)、動きを見せた。上級検察庁が明らかにしたところでは、元従業員のシステム・エンジニア(IT-Supporter)に対する手続が開始された。ヒルデブラント総裁の不祥事において銀行データを目的外譲渡した疑いによる。
手続開始の端緒は、既報にあった通り、この間に解雇された銀行従業員がチューリヒ州警察に自首したことだった。この行為によって、元従業員はサラシン銀行を解雇された。このことは1月3日に明らかにされたところである。この39歳の人物には、[今の段階では]無罪の推定が妥当している。
インサイダーの構成要件は、外為取引を補足したものではない
このことから、検察はフィリップ・ヒルデブラント総裁に対する刑事手続きを開始しない。自らの罪を認めたサラシン銀行に勤めていたシステム・エンジニアの証言に基づいて、状況が仔細に検討された。システム・エンジニアが国立銀行総裁の口座振替[記録]を入手していたことは明らかだ。というのも、チューリヒ検察庁の発表によれば、エンジニアは、ヒルデブラント総裁の論議を呼んでいる米ドル取引に際して、インサイダー罪(Insidervergehen[Vergehen = 軽罪])があったということを出発点としていたのである。しかし、インサイダー取引の処罰規範(刑法161条、秘密の事実にかかる知識の使用(Ausnützen der Kenntnis vertraulicher Tatsachen)の中には、外国為替取引は盛り込まれていない。一義的に「証券及びその他の有価証券」と記述されていることは明らかだ。
法学文献や、さらには、特に1985年のインサイダー処罰規範追加に当たっての連邦参事会理由書において説明されるところでは、外国為替は、過誤によってでなく意図的に、インサイダー取引の犯罪構成要件から除外されたものである。したがって、マルティン・ビュルギッサー(Martin Bürgisser)上級検察庁検事(Oberstaatsanwalt)によれば、フィリップ・ヒルデブラント事件ではインサイダー犯罪の疑いはなく、刑事手続きは開始されることがないと、問い合わせに答えている。
ほかの告発はない
上級検察庁(Oberstaatsanwaltschaft)には、銀行の顧客コンサルタントについては対応すべきことができない。コンサルタントは、「週刊世界」紙の報じたところによれば、銀行データを同様に目的外譲渡したものとされている。この週刊誌の最新号では、情報提供者は自首し、フィリップ・ヒルデブラント国立銀行総裁に対する告発を行ったという記事が掲載された。しかし、ビュルギッサー検事長によれば、システム・エンジニアの自首のほかには、告発の事実はないとしている。
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一応、スイス刑法161条の条文も見てみましたが(訳すのはなんかめんどくさくなってきたのでやめました…)、ものすごい頑張れば外国為替取引も含める解釈は文理上は不可能でないかもしれませんが(特に2項のほうなら…)、検察としては立法者の意思というやつを忖度したということなんでしょう。日本なら検察審査会もののような感じですが、この国ではそういう機能を果たす機関が、はて、あるのかな… ちなみに、法定刑は、161条1項(特定の態様によって自己又は第三者の利益を得る類型)が3年未満の自由刑又は罰金刑、同条2項(それ以外の態様によって自己又は第三者の利益を得る類型)が1年未満の自由刑又は罰金刑ということのようです。
まあしかし、為替介入の決定をする当事者が、そのことを利用して自分がも うけちゃうなんて… こっちのニュースではモラルの問題だと言っていますが、これでこの人が辞めずにすむんだったら、いったい今までの日本で何人の政治家や官僚が辞めずにすんだのか… そういえば、きのう、この続報で、この総裁はなんと自分の行為を認めたうえで、でも辞職しないとか言っているそうです。
ふう、なんか疲れた…
ま、いっか、旅行の前にぼけーっとしていたわけじゃないってことを、こんなところで世間にアピールできて。
―おや、それにしてもお荷物なんだねぃ。
―旅行にそぐわないものも入っているねぃ。
…今回は、基本的には「うあらうぷ」なんだけど、ペンギンさん的には「げしぇふつらいぜ」でもあるんだよね。
〜勉強会ね。楽しみだね。
―予習はどうなったの。
―あれっ、そういえばどうなったの?
…あきらめて旅行中にやります…
というわけで、今夜から、こっちに来てから最大規模の旅行にお出かけです。もちろん出だしは、例のあれで。
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