巨人症と先端巨大症: 下垂体障害: メルクマニュアル18版 日本語版
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Ian M. Chapman, MBBS, PhD
巨人症および先端巨大症は,ほぼ常に下垂体腺腫を原因とする成長ホルモン過剰分泌症候群(高ソマトトロピン症)である。骨端閉鎖以前であれば,結果として巨人症が生じる。閉鎖後であれば結果は先端巨大症となり,独特の顔貌およびその他の特徴が形成される。診断は臨床的に行い,頭蓋および手のX線撮影,ならびに成長ホルモン濃度の測定も用いられる。治療には原因腺腫の切除または破壊がある。
成長ホルモン(GH)分泌腺腫の多くは変異型のGs蛋白を含み,これはアデニル酸シクラーゼの刺激性調節因子である。変異型Gs蛋白をもつ細胞は,成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)がなくてもGHを分泌する。また,特に膵臓および肺の異所性GHRH産生腫瘍も数例報告されている。
症状と徴候
下垂体性巨人症: このまれな疾患は,小児期の骨端閉鎖以前にGHの過剰分泌が始まると生じる。骨格の成長速度が上昇して最終的に身長が高くなるが,骨の変形はほとんどみられない。しかし,軟部組織の腫大が生じ,末梢神経は肥大している。思春期遅発または低ゴナドトロピン性性腺機能低下症もしばしばみられ,類宦官様となる。
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先端巨大症: 先端巨大症では,GHの過剰分泌が20代から40代の間に始まる。骨端閉鎖後にGHの過剰分泌が始まったときは,初期臨床症状に顔貌粗造および手足の軟部組織の腫大がある。外見は変化し,以前よりも大きな指輪,手袋,靴が必要になる。疾患の経過を追跡する上で患者の写真は重要である。
先端巨大症の成人では,粗い体毛が増加し,皮膚は肥厚してしばしば黒ずむ。皮脂腺および汗腺は肥大して機能が亢進するので,患者はしばしば発汗過多および不快な体臭を訴える。下顎骨の発育過剰は下顎の突出(顎前突症)および歯の不正咬合につながる。喉頭軟骨増殖は低くかすれた声につながる。舌はしばしば肥大して皺壁が目立つ。長期に及ぶ先端巨大症では肋骨の成長が樽状胸につながる。関節軟骨の増殖はGH過剰に反応して初期に生じ,関節軟骨が壊死し腐食する可能性がある。関節症状は一般的で,肢体不自由を招く変形性関節症が生じる恐れもある。
隣接する線維組織および神経内線維性増殖による神経圧迫が原因となって,末梢神経障害も一般的に発症する。下垂体腫瘍による頭痛は一般的である。腫瘍がトルコ鞍上まで拡大して視交叉を圧迫すると両耳側半盲が出現することがある。心臓,肝臓,腎臓,脾臓,甲状腺,副甲状腺,および膵臓は正常よりも大きい。患者の恐らく1/3に心疾患が発生し,心疾患による死亡リスクは倍増する。高血圧症は最大で患者の1/3に発生する。癌,特に消化管癌のリスクは2〜3倍に増える。GHは尿細管でのリン酸の再吸収を増大させ,軽度の高リン酸血症につながる。先端巨大症および巨人症では耐糖能障害が半数近くにみられるが,臨床的に意味のある糖尿病が生じる患者は約10%のみである。
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乳汁漏出症が先端巨大症の女性の一部でみられることがあり,通常は高プロラクチン血症と関連している(下垂体障害: 病因を参照 )。しかし,GH自体が乳汁分泌を刺激するので,GH過剰だけでも乳汁分泌は起こりうる。ゴナドトロピン分泌低下はしばしばGH分泌腫瘍とともに生じる。先端巨大症の男性の約1/3は勃起機能不全を,女性のほぼ全員が月経不順または無月経を呈する。
診断
特徴的な臨床所見から診断は可能である。CT,MRI,または頭蓋X線で,骨皮質の肥厚,前頭洞の拡大,トルコ鞍の拡大および侵食が明らかにされる。手のX線写真は末節骨の房状化および軟部組織の肥厚を示す。一般に,耐糖能は異常で血清リン酸濃度は上昇している。
ラジオイムノアッセイ法で測定する血漿GH濃度は典型的には上昇しており,GHの分泌過剰を評価する最も簡単な方法である。採血は朝食前(基礎分泌状態)に行うべきであり,健常者のGH基礎濃度は5ng/mL未満である。一過性のGH上昇は正常であり,病的過剰分泌と鑑別しなければならない。ブドウ糖負荷後に生じるGH抑制の程度は基準範囲内にとどまるので,血漿GH値が上昇している患者ではその抑制の程度を測定すべきであるが,結果は分析法に依存し,正常な抑制のカットオフ値については議論が分かれている。健常者では,75gブドウ糖経口負荷から90分以内にGH分泌は2ng/mL未満(カットオフ値には1ng/mL未満がしばしば使用される)に抑制される。大半の先端巨大症患者はかなりの高値を示す。血漿GH基礎濃度は治療に対する反応を監視する� ��でも重要である。
先端巨大症が疑われる患者では血漿 インスリン 様成長因子1(IGF-1)を測定すべきで,IGF-1値は典型的には大幅に上昇している(3〜10倍)。IGF-1濃度は治療に対する反応の監視にも利用できる。
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頭部のCTまたはMRIを実施して腫瘍を検索すべきである。腫瘍が明らかでなければ,下垂体GH過剰分泌は異所性GHRHを過剰産生する非中枢神経系腫瘍による可能性がある。血漿GHRH高値を立証することで診断を確定できる。異所性産生部位を検索する際には,肺および膵臓を最初に評価する。
治療
外科手術や放射線照射による下垂体除去療法が一般的に適応となる。経蝶形骨切除術が好まれているが,施設により選択は異なる。約5000cGyを下垂体に送達する定位超高圧放射線照射が用いられるが,GH濃度が数年間基準範囲まで低下しないことがある。加速陽子線(重粒子照射)を用いた治療ではより高線量(10,000cGy相当)の放射線を下垂体に照射できるが,このような治療法は脳神経および視床下部を損傷するリスクが高く,数カ所の施設でのみ利用可能である。放射線照射の数年後に下垂体機能低下症が発生することは一般的である。放射線損傷は蓄積するので,従来のγ線照射の後に陽子線療法を用いるべきではない。下垂体腫瘍がトルコ鞍外に進行性に拡大している患者および腫瘍全体が切除できない患者では外科手術と放射線照射の併用療法が適応となり,そのような例はしばしば認められる。
ブドウ糖負荷試験後のGH値,およびIGF-1値が正常範囲内になれば,腫瘍の外科的切除が治癒的治療となっている可能性が高い。一方または両方の値が異常であれば,さらなる治療が通常は必要である。GH過剰がうまく制御されなければ,高血圧症や心不全が生じ,死亡率は2倍になる。しかし,GH値が5ng/mL未満であれば,死亡率は上昇しない。
一般に,外科手術や放射線療法が禁忌の場合,これらが治癒をもたらさない場合,または放射線療法が奏効するのを待っている場合には薬物療法が適応となる。このような場合に,メシル酸ブロモクリプチン(1.25〜5mg,1日2回経口投与)が少数の患者でGH濃度を効果的に低下させることがある。ブロモクリプチンが無効ならば,ソマトスタチンアナログであるオクトレオチド0.05〜0.15mgを8〜12時間毎に皮下注射する;オクトレオチドは,ブロモクリプチン,外科手術,または放射線照射に抵抗性を示す患者でGH分泌を効果的に抑制する。マンニトールで放出を修飾したオクトレオチド(オクトレオチドLAR)10〜30mgを4〜6週間毎に筋注,ランレオチド30mgを10〜14日ごとに筋注,といった長時間作用型ソマトスタチンアナログはより簡便である。
GH受容体拮抗薬のペグビソマントは,GHの作用を減弱させてIGF-1濃度を低下させ,外見上は下垂体腫瘍を増大させないことが先端巨大症患者で明らかにされている。この薬物は,ソマトスタチンアナログに部分的または完全な不応性を示す患者の治療に役立つであろう。
最終改訂月 2007年2月
最終更新月 2005年11月
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