大学で習った内容+αという内容で、2回目ということもあって、大変分かりやすかったです。
その内容を、ここにメモしたいと思います。
まずは…
(見にくいかも知れません。すみません)
ブラッグピークとは、陽子線は水中を通過するとき、ある所までは少量のエネルギーしか失わないのですが、止まる直前に残りのエネルギーを集中的に失って停止することです。下図を見てください。
このように、がんの存在する部位に集中的に効果があり、正常な周辺部に副作用をもたらすことなく、治療することができます。
高LET(linear energy transfer 線エネルギー付与)は、電離密度が高いため、エネルギーが高いため、生物学的効果が高いという性質を指します。つまり、高LETであるほど、がんの制圧効果が高い、ということです。
このように、重粒子線はブラッグピークの性質を有し、高LETということで、近い将来有望な治療法と考えられています。さらにここで、特徴をまとめておきます。
1)重粒子線は高LET(linear energy transfer 線エネルギー付与)
→電離密度が高い→エネルギーが高い。
2)生物学的効果は従来のX線やγ線と違って、生物学的効果比(RBE;Relative Biological Effectiveness)が2~3程度である→RBEが大きい→癌に対する効果が大きい。
3)線量分布が良好=狙い打ちできる
4)放射線抵抗腫瘍にも有効である。
5)OER(酸素増感比Oxygen Enhancement Ratio)が小さい=酸素が必要ない。
6)細胞周期依存性が小さい=どの時期でも感受性が高い
7)短期小分割照射が有利→一気にかたをつける
8)SLDR(亜致死損傷回復)、PLDR(潜在的致死損傷回復)が起こらない
→癌が回復できないほど叩ける。
…という特徴があります。
放射線医学における歴史においては、
1)線量分布の局在性の制御困難(病巣のみに照射するのが難しい)
→術中照射や定位照射などの開発。
2)殺細胞時の困難(放射線抵抗性のがん細胞への治療)
→ハイパーサミア、放射線増感剤などの開発。
が課題となっていたのですが、これを炭素線(重粒子線)によって克服することができるのではないか、ということが言われています。
炭素線の適応としては、
1)頭頚部 2)肺 3)肝 4)前立腺 への治療が良好と考えられています。
・まだ保険適応がない(06/03/20現在)ため、300万円という高額医療
・巨大な施設が必要となり、普及率の低さが問題となる。
・正常細胞との分別(画像診断)が完全にはできないという技術的問題があるため、再発の可能性がある(これは、手術でも同様)。
…などの問題がありますが、重粒子線治療は、将来、がん治療の中心的割合を担うと思われます。今後の発展に期待しております。
(問題)
疱疹状皮膚炎の治療にはDDS〈diaminodiphenylsulfone〉内服が有効である。
(答え)○
(解説)
疱疹状皮膚炎とは、自己免疫疾患の1つで、強いかゆみを伴う小水疱の塊と、蕁麻疹のような腫れが生じる。
病名は「疱疹(ヘルペス)状」であるが、この病気はヘルペスウイルスとは無関係である。疱疹状皮膚炎では、小麦、ライ麦、大麦やそれらから作られた製品に含まれるグルテン(タンパク質の1種)によって体内の免疫システムが活性化され、皮膚が攻撃を受けるために発疹やかゆみが生じる。疱疹状皮膚炎の患者は、グルテンに対する過敏性が原因で起こるセリアック病(吸収不良: セリアック病を参照)を発症することがある。これらの人々は、その他の自己免疫疾患、具体的には甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、糖尿病などの発生率も高くなる。疱疹状皮膚炎の患者は、腸にリンパ腫ができることもある。
小水疱は徐々に出現する。好発部位は肘、膝、尻、腰、後頭部である。顔面や頚部に、急にできることもある。これにより掻痒と疼痛とをかなりひどく感じる。イブプロフェンなどの抗炎症薬は、発疹を悪化させる。
診断は、皮膚生検に基づいて行う。この検査により、皮膚のサンプルに特徴的な抗体がみられる。
治療としては、DDS(diaminodiphenylsulfone)が用いられる。
水疱は治療を行わない限り、自然治癒しないDDS(diaminodiphenylsulfone)を経口で服用すると、ほとんどの場合1~2日で症状が改善されるが、これを服用する場合は血球数を定期的に測る必要がある。
薬の服用と、グルテンを摂取しないようにする厳密な食事制限(小麦、ライ麦、大麦をいっさい摂取しない)を6カ月以上続けて症状がコントロールできるようになったら、薬は中止できる。しかし、一部には薬の服用をずっと続ける必要がある人もいる。また、ほとんどの人は、たとえ少量でもグルテンを摂取すると症状が再発する。グルテンを摂取しないよう食事制限をすると、腸にリンパ腫ができるのを防ぐこともできる。
[注]これは、医学評論社で毎平日更新中の一問一答を解説していく…という、不毛なことをやるコーナーです。